| 口鼻臭臨床研究会 第一回学術集会2006 市民公開講座 |
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においとかおり
香り作りの現場からの提言
鈴木 隆
匂いと香りは、言葉としては誰もが知っているものの、その正体や実態となると多くの人が漠然としたイメージしか
持っていないのではないかと思われる。いわゆる理科系の知識のあまりないまま、香料会社で香料を作り始めた
私自身の体験を踏まえて、匂いや香りというものに出会って広がる世界について述べてみたい。
私の最初の驚きは、匂いの成分が食べ物であっても花であっても、あるいは人間から出るものであっても、
さらに香料においても、多くは共通しているという事実であった。そして、知れば知るほど、匂いというものが
生物の生命活動の根源に位置するということであった。それは本来人間も同じであるのに、そのことを忘れて
「消臭」「防臭」に走ることの中に危惧も禁じえない。
その結果が、匂いについての無知を閑却することにつながりもしているようだ。
私は調香師として多くの香料成分の匂いを扱っているが、個々の匂いは特別良い匂いではなく、中には刺激臭や
頭の痛くなるような匂いもあるのだが、それらが合わさることで芳香になる。その過程を日々体験していると、
最初は嫌いだった匂いも、その役割や価値を知るに及んで、次第に嫌いではなくなってくる。先入観なく匂いと向き合い、
その意味や価値を知ることで、単なる好き嫌いを越えた匂いとの関係がはずだし、多くの生物はそれができている
のではないか。人間においても幼児期はそうした幸福な匂いとの関係を取り結べていると思われるのに、
いつの間にかそれを失い、匂いについてきちんとした知識をもたらされることもなく成人していくのである。
何故現代の人間がこうした自然な匂いとの結びつきを失ったのかについて考えるとともに、
身近な匂いや香りについて意識的になることによって生まれる生活の豊かさについても考えてみたい。
鈴木 隆 プロフィール
高砂香料工業フレグランス研究所創香研究部専任研究員
1961年東京生まれ。1985年早稲田大学第一文学部フランス文学専修卒業。同年高砂香料工業鞄社。調香師としての訓練を受け、1986-1990フランス・パリ、2000-2003アメリカ・ニュージャージーに調香師(パフューマー)として勤務。2005年より現職。
テーマ:トイレタリー製品の創香
連絡先:〒254-0073 平塚市西八幡1-4-11
takashi_suzuki@takasago.com
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