| 口鼻臭臨床研究会 第一回学術集会2006 市民公開講座 |
![]() |
においは、何故におう?
東原和成
なぜにおいは、におうのだろうか?
鼻の中に入ってきたにおい分子は、嗅神経細胞のにおい受容体(におい分子を受容するタンパク質)によってキャッチされる。
そして、においの化学信号が電気信号へ変換され、その結果、非常に速い速度でにおい情報が脳へ伝わって、
脳でにおいと感じる。我々がにおいをにおうことができるのは、においセンサーであるにおい受容体が鼻のなかに
あるからである。におい受容体をコードする遺伝子は、なんと、人間で約400種類もあり、全遺伝子の約2%を
もしめている。この数字は五感の中でも嗅覚がもっとも退化していると思われている人間としては明らかに大きな数である。
2004年度ノーベル医学生理学賞は、この「におい受容体遺伝子の発見」でコロンビア大学のRichard Axel博士と
フレッド・ハッチントンがん研究所のLinda Buck博士に与えられた。では、数十万種類ともいわれるにおい物質は、
これら数百のにおい受容体によって、どのようにして認識されるのだろうか?ひとつのにおい物質に対してひとつの
受容体があるとすれば、受容体の数はにおい物質の数に比べて少なすぎる。ところが最近の研究成果によって、
におい物質ひとつひとつは、それぞれ特有の組み合わせの複数のにおい受容体によって認識されることがわかってきた。
すなわち、どの組み合わせの受容体が活性化されるかということが、ひとつひとつのにおい物質のにおいの質を
決定するバーコードのようなものになっているのである。
人間のにおい受容体は約400種類あるのだから、その組み合わせは、天文学的数字になる。
つまり、理論的には数十万種類のにおい物質を容易に識別できる仕組みを我々は持っているのである。
東原和成 プロフィール
東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻助教授
1989年東京大学農学部農芸化学科卒業、1993年ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校化学科博士課程修了Ph.D.,
1993-1996年デューク大学医学部博士研究員、1996-1998年東京大学医学部脳研究施設助手、1998-1999年神戸大学助手、
1999年より現職
研究テーマ:においやフェロモンの受容メカニズムの解明
連絡先:〒277-8562柏市柏の葉5-1-5 東大・生命棟201
touhara@k.u-tokyo.ac.jp
市民講座トップへ 口鼻臭臨床研究会2007へ においに関する本